【韓国】WTO提訴とユネスコ登録取り消し要請に垣間見る文在寅大統領の思惑
韓国政府は6月18日、韓国向けの半導体の原材料などの輸出規制を厳しくした日本政府の措置は貿易ルールに違反しているとし、WTO(世界貿易機構)に提訴しました。
羅承植(ナ・スンシク)貿易投資室長は、「日本の措置の違法性と不当性を客観的に立証し、国際社会に不当性を広く知らせる」と述べました。
日本政府が輸出管理の優遇対象国、いわゆる「ホワイト国」からの除外措置を一向に改善しないことに業を煮やした形です。
これまでの経緯と最新情報を詳しくお伝えします。
こちらの記事はニュース番組で取り扱っています。
WTOに起訴
日本と韓国は、戦前からの慰安婦問題や徴用工問題など、歴史問題を巡って対立を繰り返してきました。
2019年7月、日本は「両国間の政策対話の中断」「キャッチオール規制の整備」「輸出管理体制、人員の脆弱性」を理由に、韓国をホワイト国から除外しました。
それに併せ、韓国も日本をホワイト国から除外しています。
さらに、韓国はGSOMIAの破棄を予定していると表明、WTO(世界貿易機関)へ提訴するとも表明していました。
ですが、このときはトランプ政権からの圧力を受けGSOMIAは延長、WTOへの提訴も取り下げています。
羅承植(ナ・スンシク)貿易投資室長は日韓の政策対話は続けるとし、その中で譲歩するものとされていましたが、6月18日提訴しました。
両国の主張
これまでに韓国側はキャッチオール規制の整備を進め、「輸出管理体制も正常に機能していた」と主張。
しかし日本側は「運用に問題があり、何度も問い合わせたが返答はなかった。安全保障に関わる問題だ」としています。
ユネスコにも世界遺産登録取り消し申し出
さらに韓国の康京和(カン・ギョンファ)外相は22日、ユネスコの事務局長に書簡を送り、軍艦島などの世界文化遺産登録取り消しの検討も求めました。
15日に公開された「産業遺産情報センター」での軍艦島の展示が、朝鮮半島出身労働者に関する説明が十分ではないからとのことです。
これに対し日本政府、菅官房長官は「世界遺産委員会の決議や勧告を真摯に受け止め、約束した措置を誠実に履行している」としています。
この記事の総括
流れを見ると、文在寅(ムン・ジェイン)大統領の立場が相当危うい状況になってきていると言わざるを得ません。
「反日」と「南北統一」を政策としてきたものの、北朝鮮による共同事務所爆破など、政策の限界が近いことが容易に予測できます。
WTOへの提訴やユネスコに世界遺産の登録取り消しの申し出で、世論の目を南北統一から反日に向かわせようとしている魂胆が窺えます。
ユネスコへの申し出に関しては”やりすぎ”感が否めません。
WTOへ提訴しても、解決までかなりの時間を要することになります。
というのもWTOは事務局長が辞任し、現在上級委員会がほぼ機能しておらず、次期事務局長有力候補も出馬を辞退。
24日には、次期事務局長選に、韓国産業通商資源省の兪明希(ユ・ミョンヒ)が出馬を表明しました。
兪明希氏は、日本の輸出管理厳格化に反発しているので、仮に選出されればさらに日韓関係の悪化を招くことは間違いありません。
WTOと韓国の動向を注視し、何か進展があればまたお伝えします。
https://youtu.be/tHP1ei_VAWs