Contents
小池百合子氏が掲げた公約「7つのゼロ」は達成できたのか
東京都知事である小池百合子氏が再選を目指し、7月5日投開票の東京都知事選に立候補することを表明しました。
新型コロナウイルスや東京オリンピックの準備から中止など、大きな課題に立ち向かってきた小池氏ですが、4年前に公約に掲げた「7つのゼロ」は達成できたのでしょうか。
詳しく解説していきます。
こちらの記事はニュース番組で取り扱っています。
「7つのゼロ」の達成状況
6月12日に開いた出馬表明会見で、4年前の選挙戦について「あのとき何に挑戦していたのかを思い起こすと同時に、挑むからには改めて決意を示す」と述べました。
”あのとき”は公約に「7つのゼロ」を掲げていました。
「7つのゼロ」とは、
- ペット殺処分
- 満員電車
- 残業
- 都道電柱
- 待機児童
- 介護離職
- 多摩格差
をゼロにするというものです。
ではこれまでの4年間で、いくつの項目を達成できたのでしょうか。
結論から言うと、大半が未達成となっています。
達成できた項目は「ペット殺処分ゼロ」
まず、明確に達成できた項目は「ペット殺処分ゼロ」のみです。
2015年には203頭だったペット殺処分数を、2018年には殺処分ゼロを達成しました。
このうち犬については2016年に達成、猫については2018年に達成しています。
殺処分ゼロに向けた主な取り組みは、動物の引き取り数減少に向けた取り組み、動物譲渡の拡大に向けた取り組みの2つです。
具体的には、引き取り数減少に向けた取り組みとしては飼い主向けのパンフレット、DVDの作成や小学生を対象とした動物教室の開催、動物愛護行事の開催などです。
譲渡の拡大に向けた取り組みに関しては、東京都動物情報サイト「ワンニャンとうきょう」での情報発信や登録団体を通じた譲渡の促進、負傷動物譲渡時に保護用具等の提供などです。
他の項目の達成状況詳細
「満員電車ゼロ」については、新型コロナウイルスが流行する前からテレワークや時差出勤を推奨してきたものの、混雑はあまり解消できていませんでした。
その中で新型コロナウイルスが流行し、4月下旬の都営地下鉄の乗車率は7割減と、通勤時間帯の満員電車解消は皮肉にもほぼ解消されました。
新型コロナウイスル収束後に乗車率をどの程度維持できるのかが課題となりそうです。
「残業ゼロ」については、これまで都職員の勤務時間短縮を進めてきましたが、小池百合子氏の知事就任以降も月平均残業時間は23時間前後と、勤務時間はほぼ変わっていません。
「都道電柱ゼロ」については、無電柱化推進条例を制定し電柱の地中化を進めてきましたが、地中化率は40%程度とゼロとは程遠いものとなっています。
「待機児童ゼロ」については、保育施設の整備などを支援し、8466人だった待機児童が2019年度には3690人まで減少しています。
目標としていた2020年3月までには達成できませんでした。
「介護離職ゼロ」については、介護と仕事の両立支援や老人ホーム整備を推進してきました。
具体的には2019年、介護休業取得推進企業に奨励金50万円を支給する「介護休業取得応援事業」をスタートさせました。
ですが、都内の介護離職者の推移は把握してなく、検証は困難であるため達成したかどうかは不明です。
「多摩格差ゼロ」について小池百合子氏は、「多摩格差という言葉が語られなくなるような対策を練っていきたい」と述べましたが、明確な数値目標がなく、何をもって達成と呼べるのか分からないままです。
この記事の総括
このことから、明確に達成できたものは「ペット殺処分ゼロ」のみということになり、4年間での達成状況の不十分さが指摘されています。
コロナ禍でメディア露出が増え、指揮を執る姿は再選の追い風になりうるかもしれません。
ですが、「東京アラート」を発令し解除、そして今後は発令しないなどの対応に、「ただのパフォーマンスだったのか」「やってます感を出したかっただけなのでは」など揶揄する声も多くあります。
アフターコロナや延期になったオリンピックなど、課題は山積みです。
立候補者は過去最多の22人。東京都のリーダーは誰が適任なのか、各候補者の動向に注視する必要があります。